エリート2オキチョビ/FINAL DAY!

最終日の朝というのは実にイイもんです§^_^§
勝ち残った選手たちの張り詰めた緊張の糸がピィーンと音を出しているような独特の緊迫感…
曙光の空を見上げて、ゆっくり目を閉じると、気持ちがスーッと澄み渡っていく気がします。
自分はこれまで、おそらく200試合近いファイナルに居合わせているはずですが、この感覚は今も変わりません。
先日のエリート第2戦オキチョビでの最終日も同じでした。
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↑最終日を前に首位イッシュに10oz差まで詰め寄ったクリス・レーン
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↑2位クリス・レーンに10oz差まで詰め寄られたイッシュ・モンロー

優勝争いは、計77-6で試合をリードするイッシュと、わずか10oz差でそれを追う2位のクリス・レーン、この2人に事実上絞られていました。
流れ的には、Day3に31-3というド級リミットを釣ってきたクリス・レーンにモメンタムがある印象。

「モメンタム(momentum)」というのは、アメリカのプロスポーツでよく使う用語で、「勢い」「はずみ」「機運」みたいな意味ですが、今年になって、ハリスチェーンでのオープン戦を優勝し、2月のクラシックを制したクリス・レーンはまさにこのモメンタムを得ている感じでした。
選手の実力がハイレベルで拮抗するエリートのようなトップエンドプロトーナメントでは、時にこのモメンタムを得た選手が驚異的な勝利を手に入れたりするものです。

Day2までに大量リードを奪っていたイッシュが最後に逆転負けするという展開は信じがたいものがありましたが、このままでは現実になってしまうのではないか…。
おそらく現場にいた誰もがそう感じたはずです。

というわけで、最終日の朝は、自分もまず最初にクリス・レーンを追いました。
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↑Day4午前8時20分。モンキーボックスのマウス部でジグをウエッピングするクリス・レーン。かなりディスタンスを取っている点に注目

クリス・レーンが釣っていたエリアは西岸に位置するモンキーボックスのマウス部(オキチョビの地図を参照)。
彼の姿はDay3でもここで見ているので、彼がそこをメインにしていたことは間違いないでしょう。

で、ここにはいくつか島があるんですが、クリスはそうした島の中でも一番外側(メインレイク寄り)の島や、ショアラインの岬の先端部を釣っていました。
モンキーボックスやハーニーポンドはオキチョビ最大のスポーニングエリアです。
つまり、クリスがキーにしていたエリアは、産卵を終えたポストスポーナーが続々と集結する環境条件を備えていた、ということ。

そして、ここで思い出してほしいのが、清水盛三選手です。
以前のエントリーで紹介した盛三選手の動画。
実はあの中で彼がフリップしていたリーズ帯は、まさにモンキーボックスのマウス部だったのです。
実際、盛三選手とクリス・レーンの2人はエリアが一部重なっていました。
モンキーボックスのマウス部でひたすらフリップし続けた盛三選手の戦略は、実はかなりイイ線いっていたわけです。
返す返すも惜しい…

話をクリス・レーンに戻しますが、最終日のクリスは苦戦していました。
午前9時過ぎまで最初のバスをライブウェルに入れることができずにいた。
モーニングバイトをモノにすることができなかったのは大きな失点だったと言えるでしょう。

一方、最終日のモーニングバイトをうまくモノにしたのが3位のスキート・リース。
スキートのDay3までのウエイトは計62-4。
2位のクリス・レーンとは13Lb8oz差ですから、まぁ現実的に言って、スキートに優勝のチャンスはありません。
したがって、スキートの目標は「3位の死守」。
なにしろ、7位にはKVDがいましたから、そこから順位を下げるわけにはいかなかった。

しかも!
前回のエントリーでも触れたように、スキートとバンダムの2人は同じエリアを釣っていた。
最終日も2人は文字通り「抜きつ抜かれつ」といった様相でエリアを奪い合いながら、激しい火花を散らしていました。

2人が釣っていたエリアは、地図上で言うと、ターナーズコーブを中心としたウエストショールのアウトサイドグラスラインです。
最終日の2人を移した映像を用意しました↓

映像内でも言ってますが、スキートは朝9時の段階ですでにリミットメイクしています。
で、映像内で釣った魚が6尾目。入れ替えです。
英語で「入れ替え」は「カル(cull)」と言います。
よく出てくる用語なので覚えてください。
スキートは9時5分過ぎには早くもカルしていたわけです。

他方、バンダムはと言うと、これが珍しく苦戦していました。
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↑疾走する赤いナイトロ。この後、バンダム艇はバンクのスキート艇とその100m沖に浮いていた自分の間を抜けて行きましたw まぁ、オフショアには隠れ根があったりしてキケンなので、当然の走り方ではあるんですが…

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↑10時40分にキャッチしたジャストキーパーが5尾目。バンダムはこれでようやくリミットメイク。

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↑こちらはスキート。11時40分にフリップで4パウンダーをキャッチ。実はこの15分前にスイムベイトで6パウンダーも釣ってます。

この段階で、スキートの目標である「3位の死守」は達成できている印象でした。
対するバンダムのほうはヤバイ感じ。
他選手のウエイト次第ですが、7位から落ちる可能性もありえるムード。

この日、2人の明暗が分かれた理由は何なのか…
2人が釣っていたのはほぼ同じエリアで、ジグのピッチ&フリップを中心とした同じパターンを行なっていました。
にもかかわらず、最終日は明らかに明暗が分かれた。
思い出してほしいのは、バンダムはDay3に28-11というビッグリミットをウエイインしていること。

実は、このスキートとバンダムの明暗を分けた理由こそが、今回のオキチョビ戦における重要なキーでした。
イッシュも、クリス・レーンも、上位陣は全員、ソレをキーにしていたのです。

ちょっと長くなってしまいましたので、ここで一度切ります。
続きは次回に。