来期エリートの出場選手数を巡る混乱

来期B.A.S.S.エリートシリーズに関する前回の続きです。

この件についての詳細は、オフシーズン中にBasserに書こうと思っているのですが、かなり重要なことなので、ざっくりとですが要所のみかいつまんで本ブログでもまとめておきましょう。

まず来期エリートの出場選手枠ですが、前回のエントリーでも触れたように、今期出場していた99名全員に対して来期エリートの出場資格が与えられたようです。
当初の予定では、今期エリートから来期にクオリファイできるのはポイントランキング上位73名のみと公式発表されていました。
つまり、2012年エリートの出場選手枠は意図的に100名未満(おそらく80〜90名)に減らされる予定であったのです。
もっとも、B.A.S.S.トップエンドシリーズの選手数を減らすという話は以前からよく持ち上がっていたこと。
かつてのE50シリーズやメジャーなども、そうした試みのひとつでした。
今年からB.A.S.S.の共同経営者となったジェリー・マッキニスにとって、真のプロシリーズをごくごく少人数の選手たちだけで開催するというのは長年の夢でもあります。
来期エリートの出場選手数が100名未満に減らされるという当初の予定も、実は彼が目指す最終的な形へ向けての段階的調整の第一段階であったわけです。

ところが、実際には、この当初の予定は破棄され、来期エリートはどうやら今期同様の100名規模で開催されるらしいことが判明しました。
先日B.A.S.S.から選手宛てに送られた手紙の中に今期出場した99名全員の名前がリストアップされていたのです。
よって、来期エリートはこの99名から実際にエントリー手続きを行なう選手(数名の棄権者はあるでしょうが、ほぼ全員出るでしょう)と、オープンシリーズから昇格する数名の選手によって構成されることになる。
トータルで100名+αといったところでしょうか。
エントリーフィーも8試合(スケジュールはすでに発表済み)合計で43,000ドル(約3,350,000円)と今期と同じ。
実はこのエントリーフィーに関しても、非公式ながら、2012年は減額した上で賞金額を維持するという話も出ていたのですが、どうやらどこかへ消えてしまいました。
まぁ、そんなものです。
非公式な噂をいちいち真に受けていたら疲れるだけ。
重要なのは、現実にどうなったのか。
で、気になるのは、なぜB.A.S.S.は当初の予定を捨てて、来期エリートを今期と同じ規模のまま続けることにしたのか。その理由のほうです。

これにはいくつかの要因があります。
全部書いているとたいへんな長さになってしまうので、ここでは1点だけ挙げておきましょう。
(今度Basserで書く記事では、すべての要因を挙げてみるつもりです)

それは他のプロトーナメント組織に対する牽制の意味合いです。
他のプロトーナメント組織というと、FLWがすぐに思い浮かびます。
FLWはトップエンドシリーズであるFLWツアーを全10戦に拡大した上で、そのうちの4試合をB.A.S.S.エリート選手でも参戦可能なFLWツアーオープンとしました(今期から)。
実際、今期のFLWツアーオープン戦には、多くのエリート選手が参戦しています。
そんな状況の中で、もしも来期エリートの出場選手数を縮小すれば、クオリファイできなかった選手たちは当然FLWへ流れるでしょう。
しかも、エリートに参戦できなかった選手が2013年に再びエリートへ復帰するためには、2012年のオープンシリーズに参戦して、勝ち上がってこなければななりませんから、一度FLWへ流れた選手が再びエリートに戻ってくる可能性は現実的に考えて極めて低いと言わざるをえません。
ESPN内の子会社から独立企業として再出発したばかりのB.A.S.S.は、まだ会社としての形も定まっていない状態ですし、こうした難しい状況にうまく対処していくのはまぁムリでしょう。
だから、B.A.S.S.としてはじっくり対策を練るための猶予がひとまずほしかったわけです。
それに、注視すべきトーナメント組織は実はFLWだけではなくなりそうな気配すらある。

実は、このオフシーズンにまったく新しいコンセプトのプロトーナメントが始動するのです。
その名もメジャーリーグフィッシング(略してMLF)。
限られたごく少数の有名選手24名だけで競われるMLFは、ゲーリー・クラインとボイド・ダケットを中心とする選手たち自身が出資し合ってつくられた新しい組織で、経営にはなんとESPN時代のB.A.S.S.幹部だったドン・ラックスがあたるという顔ぶれ。
最終的には年数回の試合を開催することを目標にしているようですが、今期はとりあえず1回だけ試験的に開催するとのこと(来月初旬にテキサスのアミスタッドにて)。
このMLFについては書くことがいろいろあるので、また機会をあらためますが、とにかく、このMLFの登場によって、B.A.S.S.の今後の見取り図は大きく軌道修正を迫られることになったのは確かです。

と、まぁイロイロあります。

ただねぇ・・・。
基本はこの不況をどう乗り切るのかって部分ではないか、と。
この点に関してはB.A.S.S.もFLWもMLFも同じでしょう。
エリートにしたところで、43,000ドルという高額エントリーフィーを払える選手が今後も100名い続けるとは到底思えないわけで・・・。
どの組織もどこかの段階で大きく舵を切らなければならないのは自明。
でも、それを誰が最初にやるのか。そこなんですよね。
先にやったら自分だけバカを見るんじゃないか、と。それを恐れているのでしょう。